先週まで、我が家のまわりは桜がいい感じだった。

お散歩コース近くに、沢がある。その流れは住宅地方面から田んぼ方面へ向かい、その先は大きな河川へつながる。

この沢、近くを通ると匂いがする。

甘い感じの。花の匂いのような。ガムやアメのような。香水のような。

以前から不思議だった。「ここには何の花も咲いていないのに、この甘い匂いは何なんだろう?」もしかして、この匂い、・・・。

  ドラッグストアやホームセンターの洗剤コーナーを通っても感じるあの匂い。

  パッケージされているのにどうしてあのコーナーはあれほど匂いを感じるのだろう。テス ターが出ているのかな?

この沢に洗剤が流れているかどうかは分からない。けれど、人間が衣類の洗濯に施したものに似ている匂いが、この沢からは、する、と自分には感じられる。

この沢の水の先には田んぼがあり、河川がある。

私たちは毎日衣類を洗濯する。洗濯機に洗剤を計っていれ、スタートボタンを押す。排水のその先までは意識することはほとんど無い。

人間の心身について毎日学んでいるが、生命活動は代謝の連続だ。すなわち同化と異化。簡単にいうと必要なモノは取り込み、不必要なモノは分解し排出するということ。

もし、沢や川にホームセンターで売られているような洗剤の排水が流れ込んだとして、それは分解できるモノなのだろうか?

分解できなかったとして、それらが飲料水や農作物に影響を与え、人間や生き物の体内に入った場合どうなるのだろうか?

そんなことを考えながら歩き、河川の近くまで来たとき、ほのかに香りがした。

あー・・・。

直感で、一瞬で、これは自然のものだと分かった。

桜の香り。

桜が、こんなに香るものだとは思わなかった。でもけしてうるさくない香り。控えめでうるさくないけれど、「ここに咲いていますよ。」と声を上げているかのような香り。

こんな香りを静かに愛でることを、忘れたくないなと思った。

投稿者

かおり

2022年度末に22年間続けた職を辞し、鍼灸学科の学生になる。自然・健康・環境に即した医療や生き方を、東洋医学を通して学び中。