今朝は台所のガス台下やシンク下扉などを拭き掃除した。調味料がとびはねたり垂れたりしている。ついでに食洗機のなかのカゴも取り出してゴミや汚れを取る。BGМはリヒャルト・シュトラウスの「アルプス交響曲」。重厚感あふれるホルンの音色に、崇高なる任務を果たしているかのような気分になる。

お灸

 通常、実技の授業でしているお灸は、「散艾」(ちりもぐさ)といって、ふわふわ、もしゃもしゃの状態だ。それを自分の指先で米粒大の三角柱△にして、経穴に据える。

 火をつけるのはお線香で。だから実技室のある教室の付近はお線香の香りが漂っていて、入学当初はお寺に来たかのような不思議な気分になった。その時、一緒に歩いていたクラスメイトが「あ、いいにおい。」と言ったのを聞いて、似たような感性の人がいた、と嬉しくなった。

 鍼灸学科生になる前はこんな感じのお灸を薬局で買って、図書館で借りたツボの本を見て、施灸していた。台座灸という。

 これは便利だし、肌にくっつきやすいし、後も残りにくい。実際、臨床の現場でも使用されていると思う。対して、肌の上で直接もぐさを燃やすお灸は、伝統的なやり方だけれどすごく難しい。大きさの加減、ひねり具合の加減、線香をつける角度の加減・・・。神経を研ぎ澄ませて繊細な作業をしないとうまくいかない。

 今まで台座灸のみをお灸と思い、「私、お灸できるの~。」と思っていた自分は、カップラーメンにお湯を注いで「私、ラーメン作れるの~。」と思っていたに等しいかもしれない。あ、そこまでは言い過ぎかな。インスタントの袋めんくらいかな?

 伝統的なお灸は、ラーメンでいえば青竹打ちで生地から作るくらい、難しい。

投稿者

かおり

2022年度末に22年間続けた職を辞し、鍼灸学科の学生になる。自然・健康・環境に即した医療や生き方を、東洋医学を通して学び中。